こんにちは!動物看護師の片野です!
今回は、犬ちゃんの『停留精巣』について書いていこうと思います。
◎停留精巣とは??
通常精巣が生まれた頃は精巣はお腹の中にありますが
だいたい生後30日前後で精巣が降りてきますが、
降りてない事を停留精巣と言います。
稀に、精巣が1つだけしか降りてきていない場合や両方とも降りてこない場合もあります。
遅くても生後8か月前後までに降りてこなければ、
今後、精巣は降りてくる可能性は低いです。
停留精巣は鼠径部に停滞している事が多いです。
陰睾内よりも鼠径部は高温状態になると6歳~7歳ぐらいで腫瘍化する可能性があります。
腹部を触るとこりっとした物が触れたり、ひどくなると大きく膨らんで来たりします。
停留精巣は正常な精巣に比べて腫瘍の発生率13倍と言われています。
なので、生後8か月を過ぎても精巣が降りてこなければ停留精巣の手術を検討してみるのもいいと思います。
停留精巣は色んな呼び方があり、停留睾丸、潜在精巣、陰睾と様々な呼び名があります。
◎原因
停留精巣は遺伝すると言われています。
精巣にできる腫瘍は間質細胞腫・精巣上皮腫(セミノーマ)・セルトリ細胞腫の3つがあります。
・間質細胞腫:精巣腫瘍で一番多い腫瘍の1つです。良性腫瘍です。
・精巣上皮腫(セミノーマ):良性腫瘍の場合がほとんどですが、肺やリンパに転移する事が多いです。
・セルトリ細胞腫:高齢の犬に多く、悪性腫瘍で放置してしまうとリンパ節などに転移し最悪の場合、死に至る事もあります。
エストロジェンというホルモンが骨髄に影響を及ぼす事もあります。
◎症状
特に自覚症状はないと言われていますが、 セルトリ細胞腫だと、
雌犬のように「乳房が張る」「脱毛」「色素沈着」「精巣萎縮」「貧血」「白血球減少」。
腹腔内に精巣がある場合は、「腹部膨満」の症状が見られます。
◎治療
外科手術をし、腫瘍化した精巣を摘出します。
リンパ節などに転移が見られた場合は、化学療法や放射線治療をする場合もあります。
◎予防
小さいうちに去勢手術を行う事が、予防につながります。
停留精巣の場合だと、精巣腫瘍になるリスクがかなり上がります。
片側陰睾丸の場合でも雌犬を妊娠させてしまう可能性あるんです。
去勢をしていないと、精巣腫瘍だけでなく、前立腺肥大などの病気になる事があります。
また、会陰ヘルニアの予防にもつながります。
会陰ヘルニアは便が出ずらくなってしまいます。
会陰ヘルニアの手術をしても、再発してしまいます。
繁殖を考えていない場合や、精巣が降りて来てない場合も早めに去勢手術をする事をおススメします。